福山・鞆の浦で、地元のことを勉強する 機会に恵まれました。
<<< 「備後いぐさ」について >>> 2000年もの間、日本の代表的な織物として利用されてきた「いぐさ」は、 気候風土が栽培に適した広島、熊本、岡山など一部の地域でのみ作られています。 中でも広島の「いぐさ」は「備後いぐさ」といい、上質の「いぐさ」として有名です。 (ここまでは 初級知識) その広島で、いぐさを栽培している農家は激減し現在わずかに 5件、 「いぐさ」は、そのほとんどを中国から輸入しています。 中国産の「いぐさ」を使った畳の耐久年数が 3年なのに対して 「備後いくさ」を使った畳の耐久年数は、表15年、裏15年の計 30年です。 「いぐさ」は 草なので除草剤に弱く、稲作している近くで作ることができず、 山奥の不便な土地で作られています。 (ここまでは 中級知識) 「いぐさ」はイネと異なり、暑い夏に刈り取るので、過酷な作業を強いられるのに 中国製の影響を受け、非常に安い相場となっているので、後継者がいません。 「いぐさ」は刈り取ると一度泥につけ、表面をコーティングする必要があるのですが、 その泥土を掘りだす業者が だれもいなくなったので、来年用の泥土がありません。 (ここまでで 上級知識) <<< 畳表ができるまで >>> 「いぐさ」は種をまいて育てるのではなく、株分けした根を、植えます。 青々とした写真の「いぐさ」は、苗代の「いぐさ」です。 「いぐさ」の根を、丁寧に株分けしています。 根を痛めないように洗って泥を落とし、田に植える準備をします。 福山の川口町は下水が整備されておらず、川の水が汚れているので 田に引いてくることができません。 「いぐさ」の苗を植えた田に 専用の井戸を掘ってポンプで水を入れています。 今は田植えの真っ最中、稲作とは様子が全く違い茶色い田です。 7月に刈り取られた「いぐさ」は即座に泥につけられ、16時間乾燥後、 専用の機械で畳表に編み込みます。 この機械を作っている会社も たった1社になったそうです。 多くの手間をかけ、完成したのが無農薬で作った畳表です。 作業をする場所として、廃業になった酒蔵が使われています。 本日、見聞きしたことを、自分の記録として残しておきたいと思いました。 何も知らないで、「いぐさ」はずっと日本にあるものだと信じていた愚かな私です。 このままだと近い将来、 日本に和室はあったとしても 「いぐさ」は すべて中国製になります。 それでいいのか、、、日本!! 穏やかな 鞆の浦の海に心が和みます。 鷗風亭で 鯛を中心にしたお料理をいただきました。 坂本竜馬ブームに沸く 「鞆の浦」の見学は明日アップする予定ですが、 こちらも、考えさせられることが多くありました。
by saint-arrow-mam
| 2010-11-17 06:23
| 広島県内
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Comments(6)
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by
okadatoshi at 2010-11-17 07:06
きちんとした学習会の後、ご褒美のグルメレポートですね。
今回も読む人が「ウムウム」とうなずける内容です。 shinmamaさんのblogは、こちらもいいかげんなblogは発信できないぞという励みになります。 今回も、私には、パチ×3です。
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おはようございます。 前半の 「いぐさ」 は紹介して頂き、大変参考になりました。機会があれば私のメモ帳 「話題源」に、今後の教材としてメモさせて頂きます。 http://tanmatsui.exblog.jp/11055205/ 明日アップを予定されている 「鞆の浦」 ついては、格別の思いを持っています。 一昨日アップした平和公園ブログのスナップの最初のコマで、先導している人物は教え子ですが、彼にもこののことをお願いしたことがあります。 地元住人の利便性をとるか、一度破壊したら元に戻らない原風景を保存するか。 鞆の浦の文字を見る度に、いつもこの思いが彷彿と湧いてきて、つい長文になり失礼しました。 今朝のメモ事項、そして明日のブログ内容を楽しみにしています。 ありがとうございました。
okadatoshi様
お話をお聞きした方は、地元の方で 農業以外の仕事をされているのですが、 「これでは故郷の備後いぐさがなくなってしまう」と 私財を投じて田を開墾し、井戸をひき、いぐさを 育てていらっしゃいます。 ただ、存続するためには、商売として成立しなければならず、 これからの課題はいぐさ製品の販路であると おっしゃっていました。 中国の安い「いぐさ」ではなく 日本の「いぐさ」を求めるような 賢い社会になって欲しいと心から思いました。 いつもブログの内容が軽い私ですが、 残しておきたい学習会でした。 コメントありがとうございました。 Hiro様 おはようございます。 「いぐさ」と「鞆の浦」は同日の勉強会でしたので、 一緒にアップしようかとスタートしたのですが、 省かずに 記録をしておきたいと思い、分けました。 鞆の浦は、竜馬ブームで平日にもかかわらず 多くの人が訪れていました。 現地に立った時に 私が感じたままを アップにしようと思います。 コメントありがとうございました。 こんにちは。 「いぐさ」が何処で育てられ、どんな風に製品になるのか 考えた事も有りませんでした・・・^^; 日本の生活の中に極あたりまえのように馴染んできたためかもしれません。 何でも安ければいいという物ではないはずですよね。 お米などの農作物、木材にしても安さだけが重視されているのは悲しい気がします。 こういった日本古来からの伝統を守っていく。 ちゃんと商売になれば後継者も育つはずなのですが、、、、、 これからの日本、何を守り受け継いでいくのか、真剣に考える時期に来ているのでしょう(ちょっと遅い気もしますが・・・) 取り留めのないコメントでスミマセン。
ニャン様
私が仕事をしていた時、 「いぐさ」より、「和紙」で畳を作るのが流行していました。 好きな色が付けれますし、面白い形にもできます。 でも日本の「いぐさ」は絶対に必要なものなので まさかここまでになっているとは 思ってもいませんでした。 後継者が育つ為にも、「いぐさ」が商業ベースに のるように、本当に真剣に考えないといけませんね。 ありがとうございました。
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