2008年4月。 経済産業省が 2012年までに 電力消費量の多い白熱電球の製造、販売を中止して、電球型蛍光灯などに切り替える方針を示しました。 この方針が発表されたとき、「東芝」と「三菱電機」は白熱電球の製造を即座に中止、照明器具メーカーもダウンライトなど一部照明器具の製造を ストップしました。 しかし 建築現場が混乱せずに済んだのは パナソニックだけが 2012年度まで製造してくれたからです。 そして一昨日、経済産業省と環境省が 「あかり未来計画」の キックオフ会合を開催し、白熱電球の製造、販売の中止、LEDなど節電効果の高い照明器具に普及促進をするように関係団体に要請しました。 これを受けて パナソニックも2012年度で白熱電球の製造と販売を中止する予定だったものを 本年末までに 早めることを発表しましたので、マンションや商業ビルなど ダウンライトを多用している現場では 即時の対応に追われることと思います。 「蛍光灯は 点灯してから、明るさが安定するまで1分ぐらい掛かる」 「蛍光灯は 点灯した当初、本来の明るさの7~8割程度しかない。」 「蛍光灯は 点灯と消灯を繰り返す場所に使用すると寿命が低下しやすい。」 以上の特性によって トイレなど 蛍光灯よりも白熱電球の方が 向いている場所があるのは事実です。 しかも 電球型蛍光灯の単価が白熱電球の10倍近く高価なことも 建築コストを抑えたい業者にすれば 大きなネックになっています。 しかし消費者側で考えれば、蛍光灯は 電気エネルギーを効率よく光に変換することができるので、消費電力を約4分の1程度にまで抑えることができますし、白熱電球の寿命が約1000時間なのに対して、蛍光灯は約6000時間と、寿命が長いので 蛍光灯のほうが 経済性が優れているといえます。 環境面でも 消費電力が減少するので、二酸化炭素の排出量を抑えるともに、電気量の削減ができることになります。 蛍光灯の色について 住宅には 基本的に「電球色」がよいと思います。 赤色が綺麗に見えると、食欲を増す効果がありますので、ダイニングテーブルを照らす照明に白熱電球を使うと、料理が美味しそうに見えますが、白熱電球が使えないので、せめてダイニングの蛍光灯は「電球色」にしたいものです。 和室など、温かみを感じたいお部屋にも「電球色」の方が 良いと思います。 ただ、子供部屋などは、「昼光色」にした方が、スッキリするので 勉強の効率が上がって良いと言われています。 また、お年寄りは、電球色だとひじょうに暗く感じるようですので、お年寄りのお部屋には「昼白色」が良いかも知れません。 落ち着いた雰囲気のリビングにしたいときには 「電球色」、モダンなリビングには「昼光色」がおススメです。 LDKが仕切られずに、一体となった空間のような場合は キッチンとダイニングの空間は電球色で、リビングの部分だけ昼白色‥‥などというように 違う光の色があると、ひじょうにチグハグな感じになってしまうので、注意が必要です。 蛍光灯の明るさについて 白熱電球を蛍光灯にする際のW数は 下記の表を参照してください。 おおよそ、蛍光灯のW数の約4倍のW数の白熱電球の明るさが 同じくらいだといえます。 先日 オープンした「スカイツリー」の照明は 次世代の光源と言われた LED照明が使われており、ついにここまでできるようになったのかと驚きました。 LEDとは 発光ダイオードの略称で、電気を流すと発行する半導体の一種です。 暗めの赤と黄緑色の光を得たのが1960年代。 青色LEDの開発にこぎつけるのは 平成5年の事でした。 しかし照明用の白い光を作るには、青色LEDと黄色く光る蛍光体を組み合わせる必要があり、さらに3年待たなければなりませんでした。 LEDは照明としての歴史は浅いのですが その技術の進歩は 白熱電球や蛍光灯よりも 格段に速いのです。 重さ、防水性、熱対策など問題点も残されていますが、従来の灯りに比べて衝撃に強く、寿命が長いのが特徴で、消費電力が少なく、省エネや環境への配慮にも貢献できます。 LEDの色について 蛍光灯のような白い「昼光色」と 白熱電球のように温かみのある「電球色」の2種類があり、部屋によって使い分けるのは 蛍光灯のときと同じです。 光の広がり について 下方向タイプ、全方向タイプ、透明のクリア電球などもあります。 一般的に LED電球は 直下の明るさに優れてはいるのですが、四方八方に広がるタイプではないので 広い部屋には 不向きなことがあります。 デザインについて デザイン性に乏しいと言われたLED照明ですが、最近ではシャンデリアタイプも発売されています。直管蛍光灯タイプや白熱電球と同じデザインの商品もあります。 最後に 広い範囲を照らす場合、LED電球の消費電力が蛍光灯の約1/2だといっても一般照明の場合、同じ明るさにするには、直下タイプだと2個必要になり、消費電力としては差がないと思います。 また、光が広がるタイプ(10.6〜11W) は、まだ少し高額ですし、電球形蛍光灯 (12W)と 消費電力も それほど差がありません。 「LED蛍光灯」という照明器具は、現在使用している蛍光灯の照明器具に使えるので便利ですが、非常に重いので、照明器具がその重さに耐えられる保証がありません。 白熱電球を消費電力の少ない蛍光灯 に替えるのが 今のところ、リーズナブルで手軽にできる省エネ対策だと思います。
by saint-arrow-mam
| 2012-06-15 05:42
| 暮らしの手帳
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Comments(6)
これは現在の出先の講義参考資料(エコ生活の問題高揚意識の具体例) として使えます。
メモ メモ。 理系の授業でもさることながら、生活科学面から家庭科教師にも好適な参考資料となります。 似たような内容について、LEDにからむ内容ではないのですが、以前中等教育研究大会で、 家庭科教師が 「明かりの問題」 で公開授業を実施したことを思いだしました。
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okadatoshi at 2012-06-15 07:51
さすがに現職時代のキャリアが偲ばれる中身です。
我が家ではLEDの検討をしてましたが、LEDは器具全体を交換しないといけないこと。 スパイラルパルック(だったかな)は、色の変更はできないもののスパイラルパルック蛍光灯部分だけの変更で済むのでということで、こちらにしました。 つれあいの「私一人では電球の交換は無理」という気持ちが強く、エコより生きている間は電球が切れないこと-という観点からLEDへの切り替えを考えているようです。
Hiro様
現職時代、お客様に説明をするのに、資料を作り渡しましたが、なかなか読んでもらえず、、、、。(笑) それで、「照明器具の選び方」というセミナーをしてみたり、照明器具のショールーム巡りツアーをしてみたりしました。 すてきな粗品を用意すると満員御礼でした。(笑) エコの意識=電気代が安い ということで選ぶ方が多いのですが、 調光ができたり、スイッチでタイマー設定出来たり、機能を優先すると生活に潤いができますね。 ブログを作りながら、改めて2年の間にLED照明が進化していることに驚きました。
okadatoshi様
そうでしたね、お孫様に電球の交換を頼まれたのでしたね。 お近くでしたら、私が交換に伺いますのに、、、、。(笑) 発売当時はとても高かったLEDでしたが、安くなったとはいえ、まだ、高価ですね。 これで白熱電球がなくなれば 各メーカーが製造を加速するので、ぐっと安くなる気がします。 重さが軽くなってくれれば ずいぶん使いやすい照明器具になるので、きっと改良されることでしょうね。
このような内容のブログがアップされると、楽しくなります。
タネがどんどん出て来ます(笑) と申しますのは、山陰の実家にはこれを取りつけています。すべて自分で作業 (笑) http://item.rakuten.co.jp/rcmd/ab-bh0078/ 夕方 暗くなると玄関灯が自動点灯、朝には消灯、広島滞在中でも留守宅とは思えないようにしています。 そしてその近くには 人が近づくと点くセンサーライトも併用、ただし玄関前をネコが通ってもパッと。 この玄関灯に白熱電球をつけていますが、このブログを拝見し、次回帰省したらLEDに変えたくなりました。 本日出かけて確認、白熱電球と口金の合うLED電球がありました。 http://www.sharp.co.jp/support/advice/led_lighting/select_c1.html 次に帰省後、またこんな内容のブログが書けそうです。
Hiro様
Hiro様は 時代の先の先を 進んでいらっしゃるので このブログは読むまでもない内容だと 覚悟してアップいたしました。(笑) 仕事柄、照明器具について お客様に理解していただくために あれこれ工夫していたことを 懐かしく思い出して、 これを機会に ブログに残してみましたので 少しでも楽しんでいただければうれしいです。 やはり Hiro様は 進んでいらっしゃいましたネ。 しかも ご自分でなさるところがすごいです。
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