「天地明察」が すでに映画にもなった 時代遅れの作品とも知らず
クルーズ中に のめり込むようにして読みました。
主人公の 『渋川春海』 は 本名 安井算哲(やすいさんてつ)と言い
囲碁の名家である京都の安井家に生まれ、
自身も将軍の御前で 「御城碁」が行えるだけの実力と地位を持つという人物です。
ところが 彼は幼少の頃から寝食を忘れて没頭するほど 星の観測と数学が好きな人物で、
数学・暦法、天文暦学や和漢の書、そして土御門神道といった学問を学び
自身で研究を重ねていくのです。
その過程がなんとも愉快で、
まるで数学の入門書のようであり、天文学の参考書のようでもあり、
読むにつれ 深みにはまってしまいます。
ストーリーが展開する最初の方に 次の図形問題が ポンと投げ込まれています。
別に回答がわからなくても 本を展開に影響はなく 読み進めることはできるのですが
気になってしまうと どうも安心して読めないので 解いてみたくなります。
今、釣(つり=高さ)が9寸、股(こ=底辺)が12寸の勾股弦(こうこげん=直角三角形)がある。
その内部に、図のごとく、直径が等しい円を二つ入れる。円の直径を問う。 これを いとも簡単に回答した 関孝和 という人物が 彼に大きな影響を与えるところも
興味深い展開になっています。
ちなみに この問題に関して 非常に細やかに解説され、ブログにされている方がいて 驚きました。
http://d.hatena.ne.jp/zariganitosh/20120219/tenchimeisatu_diameter 「第7回 本屋大賞」の受賞作になったので 映画化されたのだと思いますが、
画像(映画)を見ないことで 私なりに興味のポイントが限定できたので 良かったのかもしれません。