カテゴリ:   2001~2020年( 1 )

京の冬の旅 2日目(京都迎賓館)


 天皇家の代替わりが行なわれる本年、
 来日される多くの国公賓に 和風のおもてなしをするために
 「京都迎賓館」は フル活動するのではないかと思われます。

 その期間 前後は 一般公開は中止になると思いましたので 
 その前に 参観させていただくことにしました。

        (記録として残しておきたいので 画像が多く 文章も長くなっています)
d0174983_14034909.jpg


 「京都迎賓館」は 「京都御苑」の敷地の中に 2005年に竣工しました。

 「京都御苑」には 清和院御門から入り、、、
d0174983_14051454.jpg


 右手に進むと、築地塀(ついじべい)がめぐらされた 和風の佇まいが見えてきます。
d0174983_14051774.jpg


 受付を済ませると 地下に下りて セキュリティーチェックを受けた後に
 もう一度 地上に出てきて 見学が始まります。

 この日は ガイドツアーのみが許可されていました。
d0174983_14052073.jpg


 もちろん 賓客は 我々のように地下から 這い上がって来るのではなく 
 車列を組んで 御門から入って来られるそうです。

 建物は入母屋造り(いりもやづくり)など 日本建築の伝統的な屋根の形が組み合わされ、
 千利休が茶の湯を通じて広めた数寄屋造り(すきやづくり)という
 和の意匠で整えられています。 
d0174983_14052336.jpg

d0174983_14034909.jpg

<<正面玄関>>

 正面玄関の扉は 樹齢700年の欅(けやき)の一枚板を使用しており、、、
d0174983_14052618.jpg


 賓客をお迎えする際には 正面に屏風を置いて その前に生け花をしつらえるそうです。
d0174983_14052939.jpg

d0174983_14034909.jpg

 <<聚楽の間>>

 聚楽の間は ロビーとして位置づけされる空間で、
 賓客の随行員の待合として利用されます。
 
 ※京指物(きょうさしもの)の技能と有職織物を用いた安楽椅子が並んでいます。

 ※京指物とは、一切釘を使わず、ホゾ(木と木をはめ込んで組み合わせるため、
 片方の穴に差し込むために造られた突起)を組み合わせることで板や木を指し合わせる木工芸のことです。
d0174983_14053277.jpg


 日によって相手によって 飾る物は 考えられるそうですが、
 この日は 「龍村 光峰(たつむらこうほう)」の「暈繝段文(うんげんだんもん)」と、、、
d0174983_14053818.jpg


 人間国宝の「早川 尚古齎(はやかわ しょうこさい)」の「重ね編 剣菱紋花籃(かさねあみけんじしもんはなかご)」が
 漆の螺鈿の飾り台の上に 飾られていました。
d0174983_14053500.jpg

 
 建築的には 「釘隠し(くぎかくし)」が 樹脂の上に 漆塗りの結び目で造作されていることに
 和のこだわりを感じました。
d0174983_17225915.jpg

d0174983_17232669.jpg

 << 廊下 >>

 私たちは スリッパに履き替えていますが、賓客は靴やハイヒールで歩くので
 床の板の表面は 特殊な防傷加工がしてあるそうで、
 照明器具(行燈)にも 京指物の技が 見てとれます。
d0174983_17230200.jpg

d0174983_14034909.jpg

 <<夕映の間>>

 大臣会合などの会議や立礼式(りゅうれいしき)のお茶のもてなし、晩餐会の待合として使用されている部屋で、
 東側には 京都の東にそびえる比叡山を月が照らす様を描いた「比叡月映(ひえいげつえい)」が
d0174983_17230857.jpg


 西側には 京都の西に連なる愛宕山に夕日が沈む模様を描いた「愛宕夕照(あたごゆうしょう)」が 壁を飾っています。
d0174983_17230525.jpg


 いずれの壁面も 日本画家の箱崎 睦昌(はこざき むつまさ)氏の下絵を基に
 綴織り(つづれおり)の技法を用いて 製作された織物で 
 縦2.3m横8.6mもあり、部屋の広さを変えることができるように 可動式の壁になっています。
d0174983_17231238.jpg


 広縁は 南北にあり、
 南は、枯山水の坪庭風に、、、
d0174983_17231648.jpg


 北は 大きなガラス窓ごしに 庭園が見えるように設計されています。
d0174983_17232039.jpg

d0174983_17232669.jpg

 <<藤の間>>

 京都迎賓館で一番広い部屋で、洋食の晩餐会や歓迎式典の会場として利用されています。

 皇居の「宮中正殿」に参内した経験のあるShinpapaが 「藤の間」と比較して いろいろ説明してくれました。
d0174983_17423548.jpg


 壁面装飾は、日本画家の鹿見 喜陌(しかみ きよみち)氏の下絵を基に
 綴織りで製作された織物で 縦3.1m横16.6mの1枚布です。
d0174983_17422842.jpg

d0174983_17423239.jpg

 
 舞や能や琴の演奏、雅楽などが披露される舞台の扉は 
 人間国宝の 故 江里 佐代子(絵理さよこ)氏による ※截金(きりかね)が使われています。

 ※截金(きりかね)とは 金箔やプラチナ箔を焼き合わせたものを、
 筆を使って扉などに張り、紋様を描く手法です
d0174983_17423744.jpg


 廊下には 雪見障子越しに 庭が見えるようになっています。
d0174983_17424075.jpg

d0174983_17425447.jpg

 <<廊下>>

 京の路地をイメージし、暗くて細い空間になっています。
d0174983_18000377.jpg

 
 天井の船底のような形は フランスのオンフルールの教会と似ています。

 狭い空間をジグザグ通ることで 次の部屋をグンと広く感じさせるのは 和の得意技です。
d0174983_18000560.jpg

d0174983_17425447.jpg

 <<桐の間>>

 賓客に和食を提供する「和の晩餐室」で、最大24名までの会食が可能です。
d0174983_18000825.jpg


 座卓は 全長12mの 漆の一枚仕上げで 鏡のように見事に光っています。
 座椅子も 同じ漆塗り仕上げです。
d0174983_18001020.jpg


 座椅子の蒔絵や 釘隠し、襖や唐紙などにも 「五七の桐」が見られます。
 「五七の桐」は 日本国政府の紋章であり、京都迎賓館の紋章でもあります。
d0174983_18001370.jpg


 掘りごたつのように 足を下ろして座る設計になっていますが
 低い位置からみたときに 庭の広がりを感じるように 窓枠の柱を極力抜いています。
 これだけの大きな空間を作るためには 高度な近代建築の技術が使われているはずです。
d0174983_18001637.jpg

d0174983_17425447.jpg

 <<廊橋(ろうきょう)>>

 庭園には 深山幽谷から流れ出る水が注ぎこむ広大な池があり、
 その池を東西に渡る 廊橋(ろうきょう)があります。
d0174983_18102788.jpg


 橋を挟んで 南側と北側の水深が異なり、深い北側には 大きな錦鯉が泳いでいます。
d0174983_18103077.jpg

 
 また 浅い南側には 年中 青々としている稲をイメージした植物が植えられています。
d0174983_18103217.jpg


 屋根の隅には、、、、 
d0174983_18103517.jpg


 かわいい昆虫の透かし彫りが、、、、。

 厚さ数ミリの杉板に彫られているのに 微妙なふくらみの曲線は見事です。
 スズムシの羽と羽の間には、地の部分がほんのわずかしか残っていないのに驚きました。
d0174983_18103836.jpg


 舟遊びをするための和舟がありますが 池はそれほど広くないような、、、、。(笑)
 
 ただ、池に舟をこぎ出すと、景色が変わります。
 すぐ横を並走するように鯉が泳ぎ、水音が静かに響くのは 心地よい事です。

 日本人には 平安時代の雅を感じるこの仕掛けが 外国の賓客に通用するのでしょうか?
d0174983_18104150.jpg


 造園の棟りょうを務めたのは 佐野藤右衛門氏。
 京都盆地の特徴を生かし、西向きの部屋の外に、落葉樹を配したことで
 夏の強い西日は緑に遮られ、冬の暖かな陽光は木々の間から差し込み
 畳や建物の焼けを防ぐよう工夫されています。

 また 日中、会談やさまざまな場所への訪問で過ごした賓客が、
 京都迎賓館で過ごすのは ”夜”が多いはず。

 日が暮れて、静かな水面(みなも)に月の姿が映り、室内の明かりがともる時、
 どんな華麗な演出がされるのか、、、、、
 夜の迎賓館を想像して ボーーーとしていました。
d0174983_19084456.jpg

by saint-arrow-mam | 2019-02-20 00:00 |    2001~2020年 | Comments(0)